県立図書館館館のおすすめの本(平成28年5月)
書名:ことりをすきになった山
著者:エリック=カール 出版社:偕成社
ずばり、ことりと山との愛のお話です。
荒れ果てた岩山は毎年、旅の途中に訪れることりを好きになり、ことりにずっと側にいてほしいと願います。
でも水も食べ物もない山にことりは住むことはできません。悲しみにくれる山。その時、ことりが思いついたことがありました。
信じること、待つこと、長い年月をかけて育まれていく愛。自然の営みの中で変化していく山と代々姿を変えて訪れることり。
その穏やかにも熱いやりとりがエリック=カールの浮き立つような絵にのせて語られていきます。
読む人それぞれの心のポケットにそっと入り込む絵本です。ふたりの愛の大きさに圧倒され、あこがれてしまいます。
書名:イーダ 美しい化石になった小さなサルのものがたり
著者:ヨルン・フールム、トルシュタイン・ヘレヴェ 出版社:創元社
皆さんは化石と聞いて何を思い浮かべますか?恐竜?魚?植物?この物語はドイツで完璧な形で見つかった『イーダ』と呼ばれるサルの化石が主役です。
化石が完璧な形で出土するのはとても珍しいことです。この化石を購入したノルウェーでは『イーダ』の研究が始まりました。
おなかの中に残っていた物や骨格からだいたいどのような物を食べていたのか・どのような生活をしていたのかがわかるんです。
何万年も前の事がたった一つの化石からわかるなんてすごいことだと思いませんか?研究者たちが化石を調べていく様子がわかりやすく描かれています。
『イーダ』と共に同じ時代を生きたほかの動物たちもたくさんでてきますよ。たまには化石の世界をのぞいてみませんか?
書名:精霊の守り人
著者:上橋菜穂子 出版社:偕成社
それまであたりまえだと思っていたことでも、角度を変えて眺めると全く別の面が見えてくることがあります。そんなことに気づかせてくれる本です。
物語は、30代の女用心棒バルサが、渓谷で新ヨゴ皇国の皇子チャグムを助ける場面から始まります。チャグムは水の精霊の卵を体内に宿しており、それを嫌った父親の帝から命を狙われていました。
はじめは自分の運命を呪っていたチャグムでしたが、バルサや薬草師のタンダ、呪術師のトロガイらと共に、精霊の卵を生む場所へと旅することになります。
果たしてチャグムとバルサは目的の地にたどりつくことができるのでしょうか…?
これからこの本を手に取るあなた、あなたはとても幸せです。豊かな物語世界に引き込まれ、ハラハラドキドキしながら読み進む感覚は、初めて読むときにしか味わえないからです。
どうか主人公たちに心を添わせて、一緒に旅してください。きっとたくさんの宝物がみつかるはずです。
書名:ウンココロ
著者:寄藤 文平 出版社:実業之日本社
この本はウンコの、ウンコによる、ウンコの為の本です。一口にウンコと言っても、その形は液体化している時もあれば、まるで木の杭のように固く頑固なものもあります。
まるで人間のように何一つとして全く同じものは存在しません。私たちはそれらを毎日当然のように生産していますが、よくよく考えればそのウンコについて深く知る者は少ないです。
ましてや小中学生の特に男子は、ウンコという言葉を口にしたことがないという人がもはや希少種なのではないでしょうか。
この書評を見た子供たちは、ぜひともこの本を手にとってウンコにも種類がある、そして生活に欠かせないものだと実感してください。そしてこの中に書かれている「究極のウンコ」を生産してみてください。
書名:だれも知らない小さな国 コロボックル物語①
著者:佐藤さとる 出版社:講談社
信頼できる人になら話してもいいけれど、バカにされたりけなされたりするようなら話したくない、そんな秘密は誰にでもある。秘密を共有できる仲間がいるということは幸せなことで、守りたいものがあると強さがわいてくる。
小学4年生のときに、近所の小山で小指ほどしかない小人たちを目撃した「ぼく」は、この美しい小山と小人たちを守りたいと強く願う…。やがて大人になったぼくは小人と再会し、小人の協力者として小山と小人を守るために活躍する。
子どもの頃に出会ってほしい、小さくて壮大なファンタジー。
コロボックル物語シリーズは、6冊続きその後27年の空白を経て、2014年、有川浩/作・村上勉/絵『コロボックル絵物語』が刊行された。コロボックルのお話は、佐藤さとるから有川浩へバトンが渡され、まだ続いている。