県立図書館館館のおすすめの本(平成28年7月)
書名:パヤタスに降る星
著者:山口千恵子 出版社:中央法規
学校で勉強できること、おなかいっぱいご飯を食べられること、それは日本に住んでいると当たり前のことのように思われますね。
しかし、世界には、学校に通えずに働いていたり、貧しくておなかを減らして暮らしている子どもたちがいます。
この本の舞台はフィリピン、パヤタスのごみ山。そこでは、子どもたちがリサイクルできるごみを拾い、お金に換えて暮らしています。
大変な毎日を送っているように見えますが、みんな思いやりの心を忘れずに生きています。そんな子どもたちの優しさにあふれるエピソードを読んでいると、当たり前の毎日をもっと大切にして暮らしていこうという気持ちになります。
本当の豊かさ、しあわせって何だろう?この本を読んで考えてみてください。
書名:やせっぽちの死刑執行人 上、
やせっぽちの死刑執行人 下
著者:ダレン・シャン 出版社:小学館
主人公ジェベルの町では、罪人の首を切り落とす「死刑執行人」は人々から尊敬される存在でした。死刑執行人の末息子であるジェベルは、強くたくましい父親や兄達とくらべて、弱くてやせっぽち。
強さをもとめ、ジェベルは無敵の力をあたえてくれる火の神サッバ・エイドのもとへ試練の旅に出かけます。火の神へのイケニエとして奴隷のテル・ヒサニを道連れに旅立つジェベル。
危険や苦難が待ちうける旅の果てに、ジェベルは火の神のもとへたどりつけるのでしょうか。そして、テル・ヒサニをイケニエに無敵の力を手にするのでしょうか。
死刑や奴隷が日常の町に生まれ育ち、それをふつうのことと思うジェベルが、旅の中で変わっていく姿、そして最後にくだした決断が見どころです。ほんとうの話ではないけれど、ほんとうの世界のことを考えさせられる話です。
書名:旧怪談 耳袋より
著者:京極 夏彦 出版社:メディアファクトリー
夏になると怖い話が読みたくなる人も多いのではないでしょうか?
江戸時代に書かれた『耳嚢』という書物があります。根岸鎭衛という人がおよそ三十年に渡って書き記したもので、内容は彼が知人や友人から聞いた話や、町の噂話、迷信などを書き留めた、いわゆる備忘録のようなものです。
この本は、その『耳嚢』の中の怪しい話や奇妙な話…現代では“怪談”として読めるような話を現代向けに書き改めた一冊。新しく書かれた旧い怪談です。
一つ一つの話は短く、怖いばかりではなく、ちょっと不思議な話も多く書かれているので、怖い話が苦手な人もぜひ手に取って読んでみてください。
また、エピソードごとに原文を併録してあるので、学校で古文を習った人は読み比べをしてみたり、原文の言い回しや音の面白さを楽しんでみるのもいいかもしれません。
書名:ピーターサンドさんのねこ
著者:ルイス・スロボドキン 出版社:あすなろ書房
ホタル島に住む、ピーターサンドさんはねこが大好き。家がいっぱいになるほどのねこと暮らしています。
ホタル島には、毎年夏になるとたくさんの人がやってきます。そして彼らは、ピーターサンドさんのねこを借りて、別荘で楽しく過ごし、夏が終わると町へ帰っていきます。
ある年、ピーターサンドさんがケガをして、夏から冬の間、町の病院に入院することになりました。ようやく退院することができ、島に帰ってみると、たくさんいたはずのねこが、たった9ひきに……。
みなさんは、動物を飼ったことがありますか?おはなしの中に、『ねこは人間と同じ生き物だよ。木のおもちゃとはちがうんだ。』という言葉が出てきます。動物を飼うということは、命を預かるということです。
ねこも動物も、そして人間もかけがえのない命を持っているということを忘れてはいけません。この本を読んで、命の大切さについて考えてみませんか?
書名:神様のいる書店
著者:三萩せんや 出版社:KADOKAWA
家や学校で自分の居場所のなさを感じているヨミは、読書が大好きな高校生。学校の司書教諭の紹介で、夏休みに「まほろば書店」でアルバイトをすることになります。
訪ねてみると、そこは動物や人間の姿で動きまわり、生きている「まほろ本」を販売しているなんとも不思議な書店だったのです!
まほろば書店がすっかり気に入ったヨミですが、人間の姿をした本、サクヤに嫌われてしまいます。仕事で認めてもらい、自分の居場所を見つけるため、ヨミは不器用ながらも一生懸命働きます。
そんなある日、神様のまほろ本が無くなってしまう事件が起こります。ヨミは神様のまほろ本を見つけ出すことができるのでしょうか?
この本を読んで、ヨミの素敵な夏休みを皆さんも体験してみませんか。本好きにはたまらない、ファンタジーの世界を楽しめます。中学生~おすすめです。