県立図書館館館のおすすめの本(平成28年8月)
書名:魔法のゆび
著者:ロアルド・ダール 出版社:評論社
もしも魔法が使えたら、と考えたことはありませんか?みなさん、きっとやってみたいことがたくさん思い浮かぶと思います。
でも、その魔法が自分の思い通りに使えないとしたらどうでしょうか?この本は、そんな少しやっかいな“魔法のゆび”を持つ女の子のお話です。
ある日、女の子は、おとなりのグレッグさん一家が狩りで捕まえた鹿を運んでいるところを見てしまい、使わないと決めていた魔法を使ってしまいます。実はこの魔法は、怒った時に突然指がピカッと光って出てしまうものなのです。
女の子は一体何に怒ったのでしょうか。ユーモアたっぷりに書かれた女の子の行動や気持ち、そして魔法にかかったグレッグさん一家の驚きの変化から『命』や『思いやり』のこころを学ぶことができるでしょう。
もしも魔法が使えたら……。読み終わった後にもう一度考えてみると、ちがうことが浮かんでくるかもしれませんよ。
夏休みのさなか広島に投下された新型爆弾。多くの命が猛火に焼かれ、見えない放射線と闘い、死の淵をさまよいました。
この物語は、そんな焼け野原の中を懸命に生きた三人の少年たちを描いた朗読劇です。
被爆した少年たちは炊き出しを目当てに、原爆で全焼し機能を失った中国新聞社に代わって、救援情報や、被害状況、家族の安否を街頭で伝える「口伝隊」に参加します。
そして一か月が過ぎ、ようやく日々の営みを取り戻しかけた頃、広島を大型台風が襲ったのです。三人の小さな命は、自然の猛威の前になすすべもありません。
戦争と災害に破壊しつくされた広島の街は、それでも再生を果たし、自然も人もまた命を育みました。必死に生き抜いた少年たちの姿に、人間の力強さと、未来への希望を託した、作者・井上さんのまっすぐな平和への思いが感じられる一冊です。
「青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ。」 司書の桃さんにそう言ったのは、絵本の中から出てきた、はだかの王様。王様は、前に絵本を読んでくれた早苗ちゃんが今どうしているか知りたいようです。桃さんは早苗ちゃん探しを手伝うことになりますが……。
主人公の桃さんが登場人物たちと一緒に、読者の人生のつづきを知る、ユーモアたっぷりの心温まるファンタジーです。
この本の1番のお気に入りは、結末にあります。物語の中のいろいろなことが最後にはちゃんと繋がっていくのです。読み終わったあと、勇気がでる本です。
表紙に描かれている赤い本はどこからきたのか?どうして絵本の登場人物たちは桃さんのそばにいたのか?つづきが知りたい方はぜひ本を読んでみて下さい。
あれ?どこに置いたのかなあ。あの時までは手に持っていて、そのあと……?
こんなふうに物を置き忘れたり、失くしてしまったりした経験はありませんか?
この物語の主人公、ツトムもそんな風にして大事なたて笛をどこかに忘れてしまいました。思いつく場所を探し回り、放課後の学校に忍び込んだツトムは黒いマントを着た二人、ニブラとサントスに出会います。
二人の仕事は忘れものを集め、「わすれものの森」へ持っていくこと。ツトムはたて笛を取りもどすため、彼らに「わすれものの森」に連れて行ってくれるよう頼みます。果たしてツトムは無事たて笛を持って帰ることができるのでしょうか。
ああ、私が今まで置き忘れてしまった物も、みんな「わすれものの森」にあるのかなあ……。そう思うとなんだか申し訳ない気がしてきます。この本を読んだ後は、自分の持ち物に対する見方がちょっと変わるかもしれません。