県立図書館館館 のおすすめの本 (平成28年11月)
「虫はごちそう!」題名を読んで、びっくりした人もいるかもしれませんね。イナゴ、コオロギ、 カメムシなど、日本でも見かける虫が世界の国々で食べられています。虫を食べる人々の暮らしはど
ういったものなのでしょうか。貧しくて虫しか食べものがないのでしょうか。この本を読むと、そう ではないことが分ります。たとえば、ラオスでは虫は高級食です。自然の中で育った虫は、農薬や飼
料が使われた食材より安心して食べられるからです。
日本でも、昔は秋になると田んぼでバッタの仲間イナゴをとって食べていたそうです。とってもお いしいみたいですよ。
たくさんの虫の中でも、なぜその虫が食べられてきたのか、いつ採れるのか、どう料理したらいい のか、たくさんの年月をかけて培われてきた食文化を知ることは、その国や地域の暮らし方・生き方
を理解することにつながっています。読んだ後は、虫に対する考え方も変わっているかもしれません 。
人間たちに混じって、団地生活を始めた妖怪の九十九さん一家と、それを見守る市役所地域共生課の野中さん。そして、妖怪たちと団地住民のトラブルを「問題ないっす」とうまく解決してくれる団地管理局長の的場さん。
個性豊かで自由気ままな妖怪と人間が上手くやっていくコツは、1.話し合うこと。2.協力すること。そして一番大切なルールはご近所さんを食べないこと。
妖怪が出てきたら怖そうだけど、町で普通に暮らしていると思うとワクワクしませんか?友達や先生、近所の人でちょっと変わってる人がいたら、もしかしたら妖怪かも?と想像してみて下さい。もっとその人のことが知りたくなると思いますよ。
「妖怪一家九十九さん」シリーズは、現在5巻まで出版されています。
1巻の最後で、九十九一家のお父さん、ぬらりひょんさんが、市役所に就職することが決まりました。2巻以降もぜひ読んでみて下さい。
第二次世界大戦中、ドイツではヒトラー政権のもと、多くの罪のないユダヤ人が殺されました。その頃のドイツを舞台にした物語です。
語り手であるぼくの友だちのフリードリヒもユダヤ人でした。ユダヤ人だという理由だけで映画を観ることができない、住んでいるアパートを追い出されようとするなど、たくさんの差別を受けます。ついには、家の中をめちゃくちゃに破壊され、父親は警察に捕まってしまいます。ぼくたち家族は、こっそりとフリードリヒを助けますが、ユダヤ人をとりまく状況は悪くなる一方でした。
つらく、悲しい一生を送ったフリードリヒ。彼ら一家だけでなく、ユダヤ人全体に対して同じような差別が日常的に行われていたのは、この時代を生きた作者が伝える事実でもあります。
平和の大切さを考えるよいきっかけになる一冊ではないでしょうか。
最近では、のら犬を見かける機会が無く聞いた事が無い子どももいるのではないでしょうか。
昔は、大ていの家が犬を外で飼い、たまには放し飼いにしていたのです。勝手に散歩に出て1日くらい帰ってこなかったり、そのままのら犬となったりしていました。もちろん無責任な飼い主によってそうなる犬もいました。
この本は、色んなかんきょうの変化によってのら犬となった主人公のマルが、他ののら犬達とのかかわりにより、生きぬくための知恵と勇気でたくましく成長していくようすが四季とともに描かれています。
マルが、どんな状況になってもあきらめたりせずにのら犬からぬけだそうとする姿勢には感心することと思います。
はたしてマルは、のら犬からぬけだすことができるのでしょうか。その先には、どんな展開が待っているのでしょうか?
マルの成長を通して、あきらめない心を感じてもらえたらうれしく思います。