おすすめの1さつ

県立図書館館館けんりつとしょかんのおすすめのほん(平成29年2月)

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おすすめの本

書名しょめい:『甘党仙人
著者ちょしゃ:濱野京子  出版社しゅっぱんしゃ:理論社
 小学4年生の陸の友だちの翔(しょう)は中国人です。
お正月(中国では2月が古い暦のお正月です)に、翔のおじいちゃんが中国から日本に遊びに来ました。翔のおじいちゃんは、陸の考えていることが分っているようなそぶりを見せます。長いひげを伸ばし、不思議な杖を持っているし、何だかあやしい。陸は、翔のおじいちゃんは不思議な力が使える仙人なのでは、と疑い始めます。甘いものが好きな普通のおじいちゃんにも見えるけど……。はたして本当に仙人なのでしょうか?
 翔に聞いても、おじいちゃんに不思議な力はないと言われますが、陸は納得できません。おじいちゃんの後をつけて、正体をあばこうとします。数日後、陸は家族や友だちの未来を見るという不思議な体験をします。これも翔のおじいちゃんの力なのでしょうか。
 陸のびっくり体験の数々に、続きが気になって一気に読みたくなる物語です。小学校中学年からおすすめです。


おすすめの本

書名しょめい:『105にんのすてきなしごと
著者ちょしゃ:カーラ・カスキン  出版社しゅっぱんしゃ:あすなろ書房
 ある金曜日の夕方、105人の男女が仕事に行く準備を始めました。お風呂に入り、いい匂いのするパウダーをふりかけて、黒と白の服に着替えます。みんなが家を出て向かった先は、音楽ホール。105人の仕事は、オーケストラの演奏者と指揮者だったのです。 それぞれの身支度の様子から、みんなの仕事がなんなのか、徐々に分かっていきます。オーケストラの演奏中ではなく、舞台に上がる前という、ユニークな視点で描かれているこの本。でも、「すてきなしごと」への準備は、すでに始まっているのです。なんの仕事をしている人たちなのか、想像しながら読んでいくのも楽しい! 開演前のドキドキする気持ちが伝わってきます。
 年齢も性別も違う105人ですが、舞台に上がれば心は一つ。一人一人が奏でる楽器の音色が、美しいハーモニーを作り出します。最後のコンサートのシーンでは、本当に音楽が聴こえてくるようです。


おすすめの本

書名しょめい:『青い鳥
著者ちょしゃ:重松 清  出版社しゅっぱんしゃ:新潮社
 中学校の非常勤講師の内村先生は、吃音で言葉がつっかえながらしか話せません。そんな内村先生と生徒の心の交流が描かれた感動の物語です。
 場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)になり学校で話すことができない生徒や、父親が自殺した生徒、いじめの加害者になった生徒など、悩んだり、苦しんでいる生徒たちに、「ひとりぼっちじゃないんだよ」と、やさしく寄り添う姿は読んでいて温かい気持ちになります。内村先生は、上手く話すことができない分、大切なことしか話しません。はじめは先生の話し方をばかにしたり、面白がって真似したりしていた生徒たちも、先生の話す一言一言の重みを受け止め、次第に心を開いていきます。
 中学生の内面を丁寧に描いており、同世代の皆さんが読むと、共感できるところが多い作品ではないでしょうか。 
 


おすすめの本

書名しょめい:『へなちょこ探偵24じ
著者ちょしゃ:齊藤飛鳥 出版社しゅっぱんしゃ:童心社
 この物語の主人公の名前は、「矢(や)間(ま)鯱(しゃち)彦(ひこ)」。世の中をかなり斜めに、冷めた目で見ているちょっと口の悪い小学5年生です。そんな彼が出会ったのは、白い帽子に白いスーツ、180センチはあろうかという身長で、お菓子作りがプロ並みにうまい、探偵の「24じ」。
 なんだか頼りない感じもする24じを、鯱彦はへなちょこ探偵と呼びますが、さらりと事件を解決するし、子ども相手にもまっすぐ向き合ってくれる姿勢はとても魅力的です。
 24じが解決していく事件を通して、鯱彦も成長していきます。鯱彦自身が辛い思いをする出来事も起こりますが、彼はそれを乗り越えていきます。
 そして、「悪くない。家や学校だけではない、おれが見つけた、おれの居場所。」24じの探偵事務所で鯱彦はこう思うのです。
 自分の居場所を見つけることは、実際はとても難しいことです。でも、この本を読んで、自分の味方になってくれる場所や、物や、人を見つけるヒントにちょっとでもなるといいなと思います。