おすすめの1さつ

県立図書館館館けんりつとしょかんのおすすめのほん(平成29年9月)

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おすすめの本

書名しょめい:『神さまの木』
著者ちょしゃ:三輪 裕子 出版社しゅっぱんしゃ:講談社
 小学生の千夏は、母親と母親の再婚相手に会うために、ニューヨークに行きます。ところが、トラブルのため肝心の再婚相手はおらず、その息子と行動することに。母親が行きたいと言っていたカリフォルニアにあるセコイア国立公園に1週間滞在することになりました。
 セコイア国立公園は、世界一の巨木が立ち並ぶ大きな森。主人公たちは、雄大な自然を舞台に、伸び伸びと、成長していきます。2000年以上生きるというセコイアの木や、湖の繊細な描写は実際にその場にいるような感覚が味わえます。最初はなかなか気持ちを通じ合えない3人の関係が、思いもよらない事件や経験を通して、次第にかけがえのない存在になっていきます。
 血のつながりのない、赤の他人であっても短期間で絆を深めることができる、そんな風に思わせてくれる1冊です。
       


おすすめの本

書名しょめい:『ちいさいきみとおおきいぼく』
著者ちょしゃ:ナディーヌ・ブラン・コム 出版社しゅっぱんしゃ:ポプラ社
 「気になる人に気持ちをうまく伝えられない。」そんな時におすすめの絵本です。
 おおきいオオカミが日なたぼっこを楽しんでいたところにやって来たちいさいオオカミ。おおきいオオカミは、つい高慢な態度をとったり、ある時はライバル意識を持ったり。それでもちいさいオオカミを思いやり、つかず離れずの楽しい日々を送ります。そんなある日、ちいさいオオカミが姿を消します。驚いたおおきいオオカミがとった行動とは?
 大きい、小さいは誰もが自然と比べてしまうもの。お互いにないものを補うことの大切さ。相手の存在の大きさは、失くして初めて気付くもの。ページをめくると空や木々の語りかけるような色があふれ、まるで二人の感情そのまま。揺れる気持ちをそっと包みこむ1冊です。



書名しょめい:『マウスさん一家(いっか)とライオン』
著者ちょしゃ:ジェームズ・ドーハティ 出版社しゅっぱんしゃ:ロクリン社
 マウスさん一家は、丘を越え、森へピクニックにお出かけしました。マウスさん一家のピクニックは、歌い、踊り、跳ね回る、それはとても楽しいピクニックです。そんな楽しい時間に、大きな木の後ろから変な音が聞こえてきました。なんとその正体はライオンでした。マウスさん一家は抜き足差し足でその場を離れようとしましたが……。
 マウスさん一家が出会ったライオンとのその後には、お互いを外見で判断することなく、心と心を通わせた温かいお話が待っています。 
 今、世界では絶えず争いが起こっています。人と人、国と国が、いがみ合い、安心・安全な生活も脅かされています。動物も人も、国が違っても顔を合わせればみんな仲良し。互いを尊重し、好意と友情をはぐくみ合えることを願って、この本は書かれています。
 マウスさん一家とライオンが互いを信じて助け合ったお話が胸に響きます。
















書名しょめい:『僕は上手にしゃべれない』
著者ちょしゃ:椎野 直弥 出版社しゅっぱんしゃ:ポプラ社
 主人公の悠太は言葉がうまく出ない「吃音」の悩みを抱えています。そのためあまり人と関わらないように過ごしてきました。中学生になったことをきっかけに自分を変えたいと思うのですが、クラスでの自己紹介から逃げてしまいます。落ち込む悠太が目にしたのは「練習すれば、上手にはっきりと声をだせるようになります」と書かれた放送部の勧誘チラシ。意を決して悠太は放送部に入部します。
 放送部の立花先輩や一緒に入部した古部さんと関わっていく中で、悠太はそれまで気付かなかった家族や周りの人の優しさや、自分だけが悩みを抱えているわけではないことを知ります。そうして悠太は大きな一歩を踏み出します。
 作者はあとがきで、自分自身も「吃音症」であること、「この本が、誰かの、吃音を考えるきっかけになってくれたらとてもうれしい」と書いています。
 「吃音」のことを知るだけでなく、何か悩みを抱えている人にとって、勇気をもらえる一冊だと思います。