おすすめの1さつ

県立図書館館館けんりつとしょかんのおすすめのほん(平成30年10月)

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おすすめの本

書名しょめい:『てぶくろをかいに』
著者ちょしゃ:新見 南吉 出版社しゅっぱんしゃ:金の星社
 寒い冬が、きつねの親子の住んでいる森へやってきました。雪遊びで冷たくなった子ぎつねの手を温めながら、母ぎつねは、かわいい手にしもやけができてはかわいそうだからと、町でてぶくろを買ってやろうと思いました。片方の手を人間の子どもの手にかえてもらい、その手にあうてぶくろを一人で買いに行くことになった子ぎつねは、無事にてぶくろを買うことができるのでしょうか? 
 この物語は、昭和18年に発表され現在まで幅広い年令の方々に読み継がれています。私も子どもの頃に読んだ時、一人で町に買い物に行く子ぎつねの心境を自分のことのようにドキドキ、ワクワクしながらページをめくりました。大人になった今では、母ぎつねが子を思う気持ちを痛いほど感じながら読んでいます。もうすぐ冬がやって来ます。読んだことがない人だけでなく読んだことがある人も、今一度、読み直してみませんか?寒い冬の日も温かい気持ちで過ごせるかもしれません。




おすすめの本

書名しょめい:『少年探偵 1』
著者ちょしゃ:江戸川 乱歩 出版社しゅっぱんしゃ:ポプラ社
 江戸川乱歩の少年探偵シリーズ、記念すべき第1作目の『怪人二十面相』。タイトルは知っているけど、実は読んだことはないという人も多いのではないでしょうか。
 怪人二十面相は、二十もの顔を持つといわれる盗賊です。変装の天才で、本当の姿を見た者は誰もいません。そんな変幻自在の二十面相に立ち向かうのは、名探偵明智小五郎。警察がさじを投げた事件を、いくつも解決してきた彼の活躍ぶりはもちろんですが、悪のヒーロー、二十面相も魅力的!必ず前もって予告状を送り、盗むのは高価なものばかりで、人を傷つけることは決してありません。何度も捕まりそうになる度に起こるどんでん返しには、思わずワクワクしてしまいます。大胆不敵で、悪者だけど、かっこいい。読み始めたら止まらなくなること間違いなし!
 名探偵と大怪盗の知恵と力の対決。さあ、勝つのはどっちだ!?


おすすめの本

書名しょめい:『まぼろしの天使』
著者ちょしゃ:松永 伍一 出版社しゅっぱんしゃ:偕成社
 青く美しい有明海を望む九州の地、島原・天草は江戸の昔「島原の乱」の舞台になりました。一揆を率いる総大将は、少年「天草四郎」。飢饉と圧政、信仰への弾圧に苦しんでいた農民達は彼と共にこの地で反乱を決起するのです。
 この物語では、小さい頃の四郎の話から、乱の総大将として戦った最期までを5人の登場人物が語ってゆく創作です。救いの天使として四郎を見ていた人々が四郎に託す願いや祈り、四郎が背負わされた総大将という重い役目に涙する母親の語りからは、その息遣いが聞こえてくるかのように熱が込められています。
 天草四郎が命を落としたのは16歳だったそうです。当時の感覚と現代は違うと思いますが、16歳というとまだまだ遊びたい盛り。そんな年頃の少年が人々の願いを受けロザリオを片手に立ちあがる姿は美しくも、どこか儚く悲しい印象を与えます。
 今も変わらない藍色の潮騒と赤い夕陽の中に天草四郎の面影を感じられる一冊。


おすすめの本

書名しょめい:『かあちゃん取扱説明書』
著者ちょしゃ:いとう みく 出版社しゅっぱんしゃ:童心社
 どうしてぼくの母ちゃんはあんなにガミガミ言うんだろう?いつも母ちゃんに怒られている哲哉。
 どうすればガミガミ言われなくなるんだろう。父ちゃんからのアドバイスで『母ちゃん取扱説明書<トリセツ>』を作ることに。母ちゃんの顔を思いうかべたり、観察したりして取扱説明書を作った。
 ある日、母ちゃんが大事にしていたゴブレットを割ってしまった。でも、なぜか怒られなかったんだ。その日を境に母ちゃんのガミガミがなくなり、ぼくの作ったトリセツ通りの母ちゃんに!
でもなんだか落ち着かなくて……。もしかして母ちゃんも、ぼくの〈トリセツ〉をもっているんじゃ?それとも他に理由が?      
 母ちゃん、一体どうしちゃったんだろう。