県立図書館館館 のおすすめの本 (平成30年12月)
「拾ってしまったら逃れられないペン」「
勝手に何かを書き始める」「のろいがある」去年あたりから町じゅうでささやかれている不思議な噂について、熱心に調べている夏野。同級生や文学館の大人たちと力をあわせてこの謎に迫ろうとしますが、どうやら彼女自身や協力者たちにも何か秘密がありそうな気配。さて彼女たちは「赤いペン」の正体に近づくことができるのでしょうか?
表紙からもミステリアスな雰囲気が伝わってきますが、ホラー小説ではありません。物語のなかに物語が存在し、少しずつ真実が解き明かされる展開に、あなたもきっと惹きつけられるはずです。姉妹編『ロ―ズさん』は、同じ文学館を舞台に別の主人公が登場します。『赤いペン』を読んだ方は、こちらもぜひどうぞ。
スパイにあこがれている12歳の少年ベンは、ある日突然CIA局員にスカウトされる。「なんで僕が」と不思議に思いながらもスパイスクールに転入することに決めた。もちろん両親や友達にはスパイの学校だということは秘密にしなければいけない。
ところが転入早々に命をねらわれ、その理由を探るために学校一の美人エリカと極秘任務に挑むことに。誰が敵で誰が味方なのか分からないスリルと、自分の弱みを見せないための駆け引きが緊張感を盛り上げる。謎と裏切りでストーリーは二転三転し、最後まで油断できない。
こんなスリリングなことが自分にも起こるかもしれないと想像しながら読んでほしい。リアルに描かれたスパイスクールの日常や授業内容も面白い。
カンザス州にあるヴァン・ゴッホ・カフェはちょっと普通とは違うカフェ。昔劇場だった場所の片隅にあり、「おかえり、ここはきみの家」という音楽が流れています。この居心地がよさそうなカフェに通うお客さんは魔法が本当に存在すること知っています。見慣れない動物が現れたり、お客さんが置いて行ったマフィンが毎日ひとつずつ増えていったり。それらの不思議な出来事は次の魔法の予兆です。店主の娘クララはそのおかしな出来事に一番に気が付きます。
どきどきわくわくする冒険やアニメみたいに華やかな魔法はでてきません。だけど困っている人を助けたり心の寄りどころとなったりとささやかで優しい魔法です。
寒い季節、心にほんのりと灯がともるような物語です。大切な人にプレゼントしてみてはいかがでしょうか?
むかしむかし、一人の貧しいおじいさんがいました。おじいさんの唯一の楽しみは、土曜日の夜に羊の肉とミルクに浸したパンを食べることでした。
ある寒い冬の土曜日の夜のこと。扉の向こうで鳴き声がしたので開けてみると、そこには一匹のやせた黒ねこがいました。おじいさんは寒さに震える黒ねこを哀れに思い、楽しみにしていた食べ物を分け与え、家にあったすべての薪を暖炉にくべて、体を温めてあげました。
食べ物も薪もすべて無くなってしまったけれど、満足そうな様子でごろごろと喉を鳴らす黒ねこを見ているだけで、おじいさんの心は満たされ、とても幸せな気分になりました。
そして次の日の朝、おじいさんにある奇跡が起きるのでした……。
寒い冬の夜に読みたい、優しいおじいさんと不思議な黒ねこが織りなす、心温まるおなはしです。