調査・質問内容

質問番号 0000013358
状態 受付済
質問日 2023/08/18

生前父から「盆と正月は、成人した子は親に金を贈るものだ」と教わっていた。それを成人した子どもたちに伝えると、「なぜそのようなことをしなければいけないのか、理由が知りたい」と言われた。子から親へお盆と正月にお金を贈る文化の意味を知りたい。
また、そのお金のことを「賽餞」ということを父から教わった。この言葉の意味も知りたい。

図書館からの回答

回答状態 公開済み
公開日 2023/10/06
関連質問番号

御質問の件については、次の資料に記載がありました。

1.「子から親へのお盆と正月にお金を贈る文化の意味」については、当館の調査した資料(古文書等、古地図・絵図等歴史資料を除く)では、確認できませんでした。参考までに以下の資料を御紹介します。
(1)『年中行事の研究』 田中 宣一/著 桜楓社 1992
 p.376 しかし盆には、右のような先祖の霊(死霊)を祀る仏事としての魂祭りとは異なった側面が認められる。
     (中略)両親健在をことさら問題にして執り行われるものがそれである。
 p.384 盂蘭盆会の日である七月十五日より前に、イキミタマ(漢字では生御玉・御見玉などと表記されている)
     ・イキボン(生盆と表記されている)と称する祝いが行われており、これは日ごろ世話になっている人へ
     贈物をする機会であるとともに、小酒宴をする時でもあったらしい。(中略)子が健在なる親に対して贈物
     をする慣行のあったことがわかる。
 p.390 盆ほど顕著とは言えないが、正月行事のなかにも、健在なる親をことさら尊ぼうとする側面が認められる。
 p.395 これらのことから、全国的に、正月行事に両親(あるいは片親でも)健在を前提にしてなされる習俗の
     あることがわかるであろう。
 p.396 正月にも「生き盆」に対応する習俗が確かに存在するのであり、その点においても正月行事と盆行事の
     性格は類似性の強いものだと言うことができるのである。

2.「賽餞」については、次の資料に記載がありました。
(2)『岩波講座東洋思想 第13巻』 長尾 雅人/[ほか]編集 岩波書店 1990
 p.10 現在の日本でも広く用いられている「賽銭」の語は、「賽餞」の「餞」(食物)を「銭」(金銭)に改めた
    もの。

参考文献

タイトル 注記
年中行事の研究
岩波講座東洋思想 第13巻

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