調査・質問内容

質問番号 0000013535
状態 受付済
質問日 2025/04/30

中国の伝統芸能に関する資料探しにご協力願います。

1影絵芝居「皮影戯」について
・歴史、文化的な背景、発展と衰退の過程。
・地域や流派による違いはあるか。
・素材や造形、操作方法などの解説。
・上演される物語や内容、楽器演奏の説明。

2人形芝居「傀儡戯」について
・「提線木偶戯」、「布袋木偶戯」、「杖頭木偶戯」、「鉄線木偶戯」の特徴。
・それぞれの歴史的背景や発展の過程。
・人形の作り手が人形の使い手になるのか。
・題目や楽器伴奏に関する記述。


【事前に自分で調査した事項】
1貴館内検索をしてみたところ、「件名:影絵」→20件ヒットしました。
梅田英春著『バリ島の影絵人形芝居ワヤン』、『バリ島ワヤン夢うつつ』
松本亮著 『ワヤンを楽しむ』は、中国ではなくジャワ島やバリ島に伝わる
影絵芝居の「ワヤン・クリ」が中心でしょうか。
藤城清治氏の関連資料に、中国の影絵に関する記述がないかなとも考えています。

最終的には「ワヤン・クリ」を調べることが目的なのですが、
今は、その前段階として、中国における影絵芝居について調べています。

「レファレンス協同データベース」で「中国 人形劇」で検索したところ、
4件ある事例の中で、参考になる下記事例を見つけました。
「事例作成日2013年01月11日 登録日時2013/04/25 11:39
更新日時2017/07/02 18:01
提供館 相模原市立相模大野図書館 (2210033) 管理番号相大-H24-052」

館内閲覧の資料が複数案内されていて、それらは鳥栖市立図書館で確認します。
とうたいりう著『影絵劇への招待』は貴館にも所蔵があり、今後借りる予定です。

鳥栖市立図書館では、王海霞著『皮影 伝統芸術影絵の世界』を確認します。
『中国美術全集12工芸編』に「影絵」の項目があるので、
確認したい気持ちもありますが、所蔵図書館が少ないため、躊躇しています。

2貴館資料では、諏訪春雄編『アジアの人形芸』になりますでしょうか。
江戸時代に中国から伝わった人形芝居が「南京操り」らしいので、
日本の人形芝居や人形劇にも検索対象を広げるべきかなとも考えています。

貴館資料では、王朝聞総編『中国民間美術全集12』 の副題に「遊芸篇 木偶影絵」
とあり、1と2に該当するかなと思いますが、いかがでしょうか。

図書館からの回答

回答状態 公開済み
公開日 2025/10/01
関連質問番号

御質問の件について、次のとおり回答いたします。

1.影絵芝居「皮影戯」については、次の資料に記載がありました。
(1)『演劇百科大事典 第1巻』 早稲田大学演劇博物館/編 監修:河竹繁俊 平凡社 1960
p.318「影戯(えいぎ)」
中国の影絵芝居。かつて満洲地方では影戯と呼ぶほかに、驢皮影児、唱影、唱戯的ともいい、中国ではむかしから照像(灤州地方)、懸影(冀県地方)、廂影(宝砥県地方)などと称した。ともに形式・内容に変りはないが、地方によって名称にちがいのあるのは、流布状態が広範囲であり、中国全土に長い期間愛好された芸能であったからである。

(2)『演劇百科大事典 第2巻』 早稲田大学演劇博物館/編 監修:河竹繁俊 平凡社 1960
pp.2-4「影絵芝居(かげえしばい)」
p.4「中国の影絵芝居(影戯)楽屋裏で人形遣いが操作をしているところ」の写真あり。
※歴史、発展と衰退の過程、地域による違い(名称)、人形の製作・操作方法などについて記載あり。

(3)『影絵劇への招待』 とう たいりう/著 構成:後藤 りえ 晩成書房 1979
p.17「影絵劇の歴史」 
中国では「影戯」と呼ばれていて、紀元前二百年ごろの伝説にもその名が登場しています。まだ宗教的なものであったようですが、記録としては世界で最も古いものでしょう。宋の時代(平安末期)になると、一般芸能と共にさかんになり、一時は影戯専門の係官がおかれたほど流行しましたが、現在は時代の波におされて、衰えてしまったようです。ロバや羊の皮をなめして人形を作り、首がすげかえられるようになっていて、手の先や胸についている針金であやつります。(後略)

(4)『中国民間美術全集 遊芸篇 木偶影絵 12』 王 朝聞/総編 華一書局 1994
※全文中国語。該当しそうな目次情報を記載しています。
pp.8-17 二 皮影藝術
p.9 (一)皮影的歴史源流
pp.9-12 (二)皮影的造形與雕鏃芸術
pp.12-17 (三)皮影的表演與地方特色

(5)『藤城清治影絵劇の世界』 藤城 清治/著 東京書籍 1986
pp.64-87「中国の影絵人形」
※中国の影絵芝居の起源、影戯の派別、人形の線-ジャワとの比較、人形の製作-切り抜きと彩色、構造の工夫と操作、舞台、背景、最近の中国の影絵劇等について記載あり。

(6) 『人形劇入門』 南江 治郎/著 保育社 1976
pp.60-71「影画人形劇」
pp.64-67 
※歴史、地域による違い(名称)、素材や造形、操作方法、上演される物語や内容、楽器演奏などについて記載あり。
pp.125-126「中国の影画」
※中国の影画の起源や、現在行われている中国の影画人形の台本について記載あり。

(7) 『支那の影絵芝居』 印南 高一/著 玄光社 1944
※歴史、演出用具と音楽、舞台と演出・演技、脚本とその内容等について記載あり。

(8)『満洲の民芸』 本山 桂川/著 昭和書房 1943
pp.61-91「驢皮影戯」
※歴史や上演小屋の様子、影戯に使用する人形「影人」の材料・造形、外題、伴奏に用いられる楽器等について記載あり。

(9)『大東亜共栄圏の人形劇』 小沢 愛圀/著 三田文学出版部 1944 ※当館所蔵なし
国立国会図書館デジタルコレクション 送信サービスで閲覧可【https://dl.ndl.go.jp/pid/1870334】
コマ番号31-42(pp.27-48)「燈影戲」
コマ番号36-38(pp.37-40)
※演進時期、全盛時期、衰落時期等について記載あり。

(10)『世界各国の人形劇』 小沢 愛圀 著 慶応出版社 1943 ※当館所蔵なし
国立国会図書館デジタルコレクション 送信サービスで閲覧可【https://dl.ndl.go.jp/pid/1870211】 
コマ番号37-45(pp.41-54)「支那」
コマ番号42-44(pp.48-53)※燈影戲について記載あり。
コマ番号44(pp.52-53)
今日の影戲は地理的に二つの系統に區分することが出來る。即ち南の潮州と、北の灤州とを以て南北影戲の二つの淵叢地とする。北影は灤州、薊縣、硺州、寶砥縣等の河北各地のものの外、山西の汾湯、河南の陝州、陝西の長安の各地に存し、南影は、潮州、福州、成都、重慶の各地に流行したといふ。而して灤州に於ては照像とも云ひ、地方によりて呼稱の異なる所もあり、各其の特質を有することは言ふまでもない。(後略)

2.「人形芝居「傀儡戯」」については、次の資料に記載がありました。
(4)『中国民間美術全集 遊芸篇 木偶影絵 12』 王 朝聞/総編 華一書局 1994
※全文中国語。該当しそうな目次情報を記載しています。
pp.1-8 一 木偶藝術
pp.3-6 (二)木偶的種類與地方特色

(9)『大東亜共栄圏の人形劇』 小沢 愛圀/著 三田文学出版部 1944 ※当館所蔵なし
国立国会図書館デジタルコレクション 送信サービスで閲覧可【https://dl.ndl.go.jp/pid/1870334】
コマ番号31-42(pp.27-48)「燈影戲」
コマ番号18-31(pp.1-27)「中國傀儡戲」
コマ番号19(p.2) 
支那の傀儡は、元、木偶の戲であると記されてある。其の起原に關する傳説は極めて古く、諸説あるうちで、周の穆王の時、巧人偃師(エンシ)といふ者があつたが、気人を爲り能く歌舞をなした。これが傀儡の始めであるといふ列子の記事は、其の起原に就て最も古いことを語つて居るものであり、中國近代學者の諾書には必ず此事が引用せられてある。(後略)
コマ番号21(p.7)
宋の時代に至りて、傀儡戲は最も盛んとなり、種類も亦多い。即ち、懸絲傀儡、杖頭傀儡、藥發傀儡、肉傀儡、水傀儡等各種のものがある。(後略)

(10)『世界各国の人形劇』 小沢 愛圀 著 慶応出版社 1943 ※当館所蔵なし
国立国会図書館デジタルコレクション 送信サービスで閲覧可【https://dl.ndl.go.jp/pid/1870211】
コマ番号37-45(pp.41-54)「支那」
コマ番号38-42(pp.42-48)※傀儡戯について記載あり。
近世の傀儡には南支の福建、廣東を中心に流行する提線即ち絲に吊して操るものと、北方に多く行はれる杖頭即ち木棒で下から操るものと、人形の首に人差指を入れて操るものと、所謂からくりとの四種である。(後略)

(11)『アジアの人形芸』 諏訪 春雄/編 勉誠出版 1999
pp.7-35「アジアの人形芸」
※中国の人形芸や皮影戯についても記載あり。
pp.37-73「中国の民間祭祀儀礼における人形芸」
※歴史、上演形態、杖頭傀儡、提線傀儡、演目等について記載あり。

(12)『アジアの人形劇』 宮尾 慈良/著 三一書房 1984
pp.9-98「東アジア」
台湾の木偶戯、布袋戯、傀儡戯、香港の泉州提綫木偶戯、中国木偶戯の戯臺考について記載あり。

※全URLの最終アクセス日:2025.5.9

参考文献

タイトル 注記
演劇百科大事典 第1巻
演劇百科大事典 第2巻
影絵劇への招待
中国民間美術全集 12
藤城清治影絵劇の世界
人形劇入門
支那の影絵芝居
満洲の民芸
アジアの人形芸
アジアの人形劇

参考URL

タイトル 注記
国立国会図書館デジタルコレクション 『大東亜共栄圏の人形劇』 最終アクセス日:2025.5.9
国立国会図書館デジタルコレクション 『世界各国の人形劇』 最終アクセス日:2025.5.9

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